「今は実家だけれども。うん。家、出るよ」

「それは――」

「君と一緒にいたいから」

こんなに猛進型の人だったの?

渡海さんは、コーヒーには口をつけず、私をじっと見て言った。

「えっと……。それはすごく嬉しいんですけど。――うちの両親が許すかどうか……」

すると渡海さんはふぅ、と息を吐き、

「そうだよな」

と言った。

「じゃあ、代わりにちょくちょく、俺んとこ遊びに来てくれる?」

「はい、それなら――」

な、何なんだろう。

カラダ目的? というわけではなさそうだ。

この間出会ったばかりで、そのルックス抜きにしても、彼の心は怪しい感じではない。

「どうして家を出るんですか? 別に……私と会うのだったら、ふつうにデートとか、こうやってお茶を飲むとかできるじゃないですか」