「やっぱり、似てるね、私たち」
 
私は独りごちる。
 
私は夢くんがいなくなったあとも、ふたりで住んでいたアパートにいた。
 
いつか、ふたりでお互いの似顔絵を描いたときの鉛筆画を壁に貼った。
 
一度、ふたりで鏡に映った顔が似ていると思ったものだったけれど。
 
この絵も、やっぱりどこか似通っている。
 
耳のかたち、二重の目、小さな口、顔のパーツのバランスまでも。
 
やっぱり私たち、兄妹だわ。
 
私が一番愛したひと。
 
ふたり、こうやって並んで笑っている。
 
私は、いつしか夢くんに買ってもらった、アニエスベーのコートを2着、袋から取り出した。
 
お揃いのコート。夢くんは着ることなく、いなくなってしまったけれど。
 
壁のハンガーに、それを並べて掛けた。
 
袖と袖が触れ合って、まるでふたり、手を繋いでいるようだった。