意外と、夢くんの背中は広かった。

夢くんの背中と、私の胸がぶつかる。

私のドキドキ、聞こえてないかな?

「……夢くんって、こういうことサラリとできちゃうよね」

「こういうことって?」

夢くんは、ゆっくりと歩きだす。

「お姫様抱っことか、おんぶとか。手馴れてるの?」

「はは、まさか。抱っこもおんぶも、梨聖ちゃんが初めてだよ」

「ほんとう?」

「うん」

ゆらゆらと揺れながら、私はいい気分でいた。

「今までつきあってきたひとって、どんなタイプ?」

「え? 何をいきなり……」

酔っていた、というのもあるかもしれない。

私は、夢くんの過去について、知りたくなった。

「教えて。私の元彼は見てるでしょ。想太」