鈴が漫画を放り投げてテーブルに着く。

さやかもテレビから目を離し、部屋の真ん中に寄ってくる。

私も――彼女らに近づくのはためらいがあったけれど、同じく席に着いた。

「ワインなんて、どうしたの?」

鈴が聞く。

「従兄弟がチリにいて、空輸で送ってくれたのよ」

と、帆乃香。

「チリ産ワイン? 高いんじゃないの?」

「そうかもね」

「こころして、いただかなきゃ。あ、梨聖。ぐい呑みはダメよ。高いワインなんだから」

「うん」

私の酒好きを知ってか、鈴が、この間のことは何事もなかったかのように私に話を振ってきた。

私も、何もなかったように応えた。

「さてさて、開けましょうか」