「来た来た、梨聖~。飲もうよ」

そんな私の心境を知ってか知らずか、鈴が明るい声を飛ばしてきた。

「待ってて、今、グラス持ってくるから」

帆乃香がキッチンへ下がった。

鈴は漫画を読んでいて、さやかはテレビのニュースを見ていた。

私は帆乃香のベッドに上がった。

今にも帰り出したい気分だったけれど、小さな丸テーブルの上には、ワインが載っている。

買ってきたビールもあるし……お酒飲んだら早々に帰ろう。

「グラス持ってきたよ~」

帆乃香は形のバラバラのグラスを持ってきた。

ワイングラスがふたつ、ジュースを飲むようなコップがふたつだ。

まあ、学生時分なんて、独り暮らしなら食器も揃えてないよね。

私は、今度ビールタンブラーを買おうと思っていた。

夢くんはお酒飲まないけれど、ふたつのお揃いのカップを買おう。

「わーい。ワインだ」