今は、家に夢くんがいるから、お泊りなんてするつもりはないけれど。

玄関の前に立ち、チャイムを鳴らす。

「開いてるよ~」

ドアの向こうから声がした。

私はドアノブを回し、中へと入った。

「帆乃香。ビールも買ってきたよ」

そう言って、部屋に入ると、そこには帆乃香だけではなく、さやかと鈴が来ていた。

「あれ……今日はふたりだけで飲むんじゃないの?」

思わず帆乃香に聞いてしまう。

「皆も呼んだよ。あれ、何かまずかった?」

私は首を横に振った。

さやかとは、想太といるところに出くわしたあと、ちょっと距離を置いていた。

講義には一緒に出ていたけれど、交わす言葉はそんなになかった。

鈴とは、この間、夢くんとふたりでいるところに会ったけれど、その真相は、夢くんの口からしか聞いていない。

何だか、ふたりとプライベートで会うのは、気まずい思いがした。