「じゃあ、梨聖が調子悪かったの?」

「いや……」
 
根掘り葉掘り聞いてくる鈴。
 
鈴の横で、夢くんは何も言わずに立っていた。

「夢大さんというひとがありながら、隠れてこそこそ会ってたの?」
 
事実、ふたりきりで飲みに行ったこともある……なんて、口が裂けても言えない。

「隠れてなんか……」

「ふたり、いい雰囲気だったもんね。手なんか握っちゃって」
 
鈴はヤケに捲くし立てる。

「それは……。友情として、握っただけよ」

「ほんとかな~?」
 
鈴は私の顔を覗きこむ。

「本当よ」

私は鈴のおでこをパチンと指で弾いた。 
 
だけど、夢くんはなんで鈴と一緒にいるのだろう。
 
私が、涼くんと親密にしている間に、ふたり、仲良くなったの?