背後から、聞き覚えのある声がした。
 
見れば、鈴と――夢くんだった。
 
どうして鈴と一緒にいるのだろう。

「あれって、涼くんだよね。合コンで一緒だった」

 夢くんの前で“合コン”だなんて言って欲しくなかった。

「タクシー使って、どこから帰ってきたの?」

「いつから見てたの」

「全部」
 
鈴はその可愛らしい顔に、悪魔の笑みを浮かべる。

「どこ行ってたの?」

「えーっと……」
 
涼くんのお母さんに会っただなんて言ったら、コトが大きくなりそうだ。

「ちょっと……病院に」

「病院? 涼くん、具合悪かったの? それで、梨聖が介抱してたの? 仲良くやってんじゃん」

「涼くんは元気だよ」