「似てると言われるなんて、初めてです」
 
お母さんはにこにこ笑顔で、うんうん、と頷く。

「立派なお嬢さんね。涼にはもったいないくらいだわ」

「失礼な」
 
涼くんが口を挟む。
 
母親を目の前にしているせいか、さっきから彼の表情は柔和だ。
 
普段からこういう表情していれば、きっともっとモテるんだろうに。
 
せっかくのハンサムなのだから。

「あ、忘れてました。これ、お見舞いのお花です」

私は花籠をお母さんに渡す。

「まあ、まあ。素敵ね。誰が選んだの?」

「私ですけど……」

「やっぱり女の子はいいわね。ちゃんと解ってる。素敵なお花。飾らせてもらうわね」
 
お母さんはお花を枕元に置くと、もう一回言った。

「女の子はいいわね。うちは男兄弟でしょう。女の子も欲しかったんだけどねぇ」

「じゃあ、孫に期待しなよ。女産むから」