あくる日、私は1コマだけの講義を終え、大学正門前で、涼くんと待ち合わせをしていた。
 
涼くんは、今日の講義はサボると云っていた。
 
私の今日の1コマの講義は、友だちの誰もとっていない科目だったので、代返ができなかったのだ。
 
彼は、わざわざ、うちの大学まで来てくれるといった。
 
正門前に着くと、タクシーが横付けされていた。
 
中を覗くと、涼くんが座っていた。
 
私に気づくと、運転手さんに頼んだのか、タクシーのドアが開いた。

「乗って」

「あ、うん」
 
私は後部座席の涼くんの隣に座る。

「じゃ、出発しますね」
 
運転手さんが私たちに半身を向けて言った。