「嬉しいね。君を誘って良かった」

私たちは顔を見合せて微笑みあった。

渡海さんの顔が近くて、またどきんとしてしまった。

私たちは駐車場に車を置き、歩いて港内へと向かった。

やっぱり秋の西日はどこか切ない。

それを浴びている、少し前を歩く渡海さんの肩。

それが、なんだか、愛しく感じられた。

すると、渡海さんは私の視線を感じてか、振り向いた。

「――どうしたの?」

「いや、西日がキレイだと思って」

私がそう言うと、彼も目を細めて空を見た。

「ああ、そうだね。空港は空の玄関口だっていうから、ここから見る空って格別にキレイに見えるのかもね」

この人が言うと、セリフに嫌味がない。