すると、渡海さんはふと私を見て、「もうすぐ着くよ」と言った。

目と目が合っただけで、心がどっくんと跳ねる。

今日の私の心臓、暴れまくり。

たくさんのときめきをくれる――まるで恋を覚えたての、ちいさな頃のように胸がやぶけそうになる。

「ああ、ほら。飛行機だ」

彼がフロントガラスを指さして言った。

「えっ? どこどこ?」

あ、うわ、大っきい。

「近くで見ると、こんなに大きいんですね」

飛行機はゆっくりと空港に向かっている。白い機体は、だんだんと、大きくなってくる。

「空港行けば、もっとデッカいの見れるよ」

「本当? 私、飛行機って乗ったことなくて」

「じゃ、空港行くのも初めて?」

「はい」