夢くんは半身をこちらへよこして、私の顔を見て言った。

「大丈夫だって」
 
その優しさが、私だけに向けられていればいいのに。
 
他の女の子にも、そういう柔らかな言葉とか、優しい笑顔とかを向けるのだろうか。
 
だけども、その反面。
 
私は夢くんにとっても大事にされているのを日々感じる。
 
ケンカだってしたことがない。
 
キスとかそれ以上のことがないのも、きっと私を大切にしてくれている証。
 
私は、急がない。
 
狼になる夢くんなんて、想像もつかない。
 
夢くんは今、季節の変わり目で体調も万全じゃないみたいだし、食欲もあんまりないみたいだし。
 
いつか、自然な形でそうなったらいいな。
 
今は、夢くんはベッドで、私は下に布団を敷いて寝ている。
 
いつの日か、夢くんが私をベッドへ招き入れてくれる日を夢見つつ……。