「あ、私も明日は、約束があって。ご飯、外で食べてくるんだ」

「そう。いってらっしゃい」
 
誰と行くの? とか聞かないんだ――。
 
夢くんは、私のこと心配じゃないのかな。
 
まさか、男の子とふたりで飲みに行くなんて、微塵たりとも思っていないんだろう。

「あ~、お腹いっぱい」
 
夢くんはシチュー半分と、パスタを半分残したところで云った。

「もうギブアップ?」

「ん~」
 
夢くんは片手を後ろについて、身体をのけぞらせる。

「夢くん、食細いよね」

「ああ、ノンアルでも、ビールだと腹が膨れる」
 
そんなことを言っているけれど、この間牛丼を食べに行った時だって、並盛だった。
 
私としても、もう少し食べられるところなのに、夢くんは“お腹いっぱい”と云っていた。

「ごめん、梨聖ちゃん。せっかく作ったのに」