夢くんが先に、キッチンへと行ってしまった。
 
私はスマホをじっと眺めたあと、鞄にしまった。
 
明日、7時……。
 
夢くんに何て言おう。

「お待たせ。さ、食べよう」

「美味しそう。いただきま~す」
 
私は料理よりも先に、ワインに手をかけた。
 
キャップを開け、グラスに注ごうとする。

「あ、やるよ」

「いい、いい。手酌が気楽」

「そう」
 
夢くんは笑みを浮かべる。
 
この笑みを、裏切ることになるのかな。
 
涼くんと、ふたりで飲み会だなんて。お酒はいただくけど、その後お誘いがあっても、私は断固拒否するつもりだ。

「シチューにかぼちゃって、正解だね。俺、初めて食べた」