男のひとと電話していて、しかも明日、ふたりで飲みに行く約束までしているとは、夢くんは微塵たりとも気づいてないんだろうな。
 
はっきり言うべきか……私は迷った。
 
夢くんが、行くな、と言ったら行かない。
 
私はぼんやり考えながら、今晩のメニュー、クリームシチューと、トマトのパスタをふたりでテーブルに並べる。

「梨聖ちゃん、何飲む?」

「あ、赤ワイン」

「OK」
 
私がフォークとスプーンをテーブルの上に置いている隙に、夢くんがワインとグラスを持ってきてくれる。

「夢くんは、何飲むの?」

「ノンアルコールの……今日はビールかな」

「ノンアルビールね」
 
私が持ってきてあげようと、席を立とうとした。

「あ、いいよ。俺持ってくる」