「お守りなのね。じゃあ、私、つけないで持ち歩くわ」

「せっかくなんだから、つけてよ」

「ううん。失くしたらいやだもの」
 
大切な宝石。
 
私、一生大事にする。
 
このピアスは、ずっと持ち歩いて、いつか……夢くんとの結婚式でつけたいな――なんて乙女チックなことを思ったりして。

「買うの、恥ずかしくなかった?」
 
男のひとが、アクセサリーなんて“きっと女に贈るんだろう”なんて店員さんに好奇の目で見られたりするんじゃないか。

「恥ずかしくなかったよ。選ぶのに真剣になっちゃって、逆に周りの目気にしないで買えた」

「ありがとう。熟考してくれたのね。とっても気に入ったよ」

「こちらこそ、ありがとう。その言葉が嬉しい」
 
私たちは顔を見合わせ、うふふと笑った。
 
夢くんはこれまで、女のひとにアクセサリーなんて買ってあげたことあるんだろうか。