私はケーキの箱を置き、お皿を並べた。

「俺には解らん」

「解らなくて結構」

こんなやりとりも、しばらくはできなくなる。

大切な家族。

私はケーキを皆に分けた。

チーズケーキはお父さん。

レアチーズケーキはお母さん。

プリンアラモードはお姉ちゃん。

チョコレートケーキはお兄ちゃん。

昔から、決まってるんだ。

香林家の定番。

「お茶、入ったわよ」

お母さんがティーポットを持ってくる。

そして、家族の分を注ぐと、揃っていただきますをした。

甘い甘いケーキ。ひと口頬張ると、幸せが口の中いっぱいに広がる。