「でも……」

『俺はまだ図書館でやりたいこともあるし』

「だけど……」

『いいって。これから一緒に住むんだ。嫌というほど、一緒にいられるよ』
 
優しい夢くんの声。

「……」
 
私はどうすべきか、考えあぐねていた。

『じゃあね、楽しんできて』
 
そこで電話は切れた。怒っている様子ではなかったけれど――。
 
私は急いで鈴たちのいる個室へと向かった。

「鈴、私、帰るね」
 
鞄を手にし、私はそのまま皆を後にした。

「ちょ、梨聖――!」
 
夢くんとの約束を忘れていただなんて、考えられない。
 
ちょっと酔ったからって、だからって、夢くんのことを――。
 
ばかばか、私のばか。