そうだ、私のスマホ、あと電池どれくらい残っているだろう。
 
私は鞄からスマホを取り出す。
 
チカチカと、着信を示すライトが点灯していた。
 
――誰だろ。
 
帆乃香に鈴は、ここにいるし。
 
もしかして、さやかとか――また何かカミングアウトすることがあるのか?
 
一瞬怯んだけれど、私はサクサクとスマホをいじる。

『着信:渡海夢大』
 
――!
 
そうだった! 夢くんと牛丼食べに行く約束だった!
 
鈴にのせられ、ビールの誘惑に負け、すっかり忘れてしまっていた。
 
着信は2件あった。
 
メールが来ていないから、夢くんの様子が覗えない。
 
さすがに、温厚な夢くんでも怒ってるだろうな。
 
待ち合わせの時間から、40分以上も経っていた。
 
私は中座した。