「お化粧はなさってますか」
 
色素の薄い私は、ほんとに軽く化粧を乗せるだけだった。

「はい。一応……」

「じゃあ、メイク、落とさせていただきますね」
 
店員さんは、コットンを持ち出してきて、何やら透明の液体の入ったボトルにあてた。

「ちょっとひやっとしますね」
 
頬にコットンがあてられる。彼女の言う通り、ひやっと冷たかった。
 
私は自然と、目を閉じる。

「それじゃあ、化粧水塗っていきますね。お化粧品でかぶれたりしたことおありですか?」

「ないです」

「お肌綺麗でいらっしゃいますね。色も白いですね。ファンデーションは一番明るいお色にしましょう」
 
軽やかな店員さんの声。耳に心地よい。
 
目を瞑って声を聴くのって、何だか新鮮。