私の問いかけが聞こえていないのか、鈴はレジへと向かった。
 
別の店員さんが、私の脱いだ服をお店の紙袋に入れてくれる。

「ありがとうございます。とてもお似合いです」

「どうも……」
 
私はまた照れてしまって、声が小さくなった。
 
鈴の誕生日は、2月だっけ。
 
ちゃんとお返ししないと。こんなに私を素敵に変身させてくれたのだもの。
 
夢くんも、褒めてくれるかな。
 
彼のことを考えると、顔がにやけてしまう。
 
私は顔の筋肉を駆使して、真顔になることをつとめた。

「おっけ、梨聖、行こう」

「ごめんね、高かったでしょ、こんなに全身コーデしてもらっちゃって」

「いーの、いーの」

「ありがとう」

「なんの。じゃあ行くよ」

「い、行くって、どこ」