状況を察してか、カーテンの隙間から、鈴が黒い綿混タイツを渡してくれた。
 
破いていいのかな、これ――と思いながらも、そのセロファンを剥がした。
 
靴下を脱ぎ、タイツを履く。
 
うん、いい感じ。

「どーお? 梨聖」

私はじゃっ、とカーテンを開ける。

「……こんな感じ」
 
何だか気恥ずかしくて、声が小さくなってしまう。

「おー、可愛い、可愛い。じゃ、これ履いて」
 
店内にあったのだろう、白いローヒールのパンプスを私の足許に置く。

「ちょっと小さいみたい」
 
爪先は入ったけれど、踵が入りきらなかった。
 
それに、白い靴って、汚れそうでちょっと嫌だった。

「他にサイズありますか」
 
さっきからつきっきりの店員さんに、鈴は尋ねる。

「はい、色違いならご用意してございます」