肩がちょっと開いている。襟元には花柄の刺繍があった。
 
これからの時期、こういうセーターも悪くないかも。

「いいね」

「ね、いいよね」
 
すると鈴は店員さんを呼んで、試着させてください、と頼んだ。
 
私は促されるがままに、フィッテイングルームの中に入った。
 
服をするすると脱いでいく。
 
あたらしい服に着替える。
 
新品の洋服って、気持ちを高揚させる。
 
あたらしい自分になったような気がする。
 
私は姿見に映った自分を見る。
 
悪くない。
 
ピンクの甘いセーターに、黒いスカートがぴしっと決まっている。
 
だけど、間抜けだ。
 
膝丈のスカートに、くるぶしまでの縞々のソックス。

「梨聖、これも」