連れてこられたのは、駅に隣接するショッピングモールだった。
 
服を売っているテナントに、鈴はずかずかと入っていく。

「何、服買うの? 私に見繕ってほしいの?」

「違う、逆。私が梨聖を見繕ってあげる」
 
そう言いながら、ハンガーにかけられたスカートに手を伸ばす鈴。
 
私は、なんてことないシャツにパーカー、下はジーンズといった格好だった。

「何で、そんなこと」

「梨聖、今度誕生日でしょ。その、前祝」

「そう。私の誕生日なんてよく覚えてたね」

「覚えてるわよ」

鈴は私の顔は見ずに、スカートを品定めしている。

「これなんかどう?」
 
一着を手に取り、鈴は私に見せる。
 
それは、黒いフレアースカートだった。