お金持ちの理由が覗えた。

「凄くないよ。親父は、ただ研究が好きなだけ。県内の教育大だよ」

「でも、好きなことが職業になるって、いいよね」

「そうだね。楽しいことばかりじゃないけどね、きっと」
 
この時間の学食は、ほとんど誰もいなくて、遠くの席で何やらのサークルがミーティングをしていた。
 
想太と別れたのも、ここ、学食だったな、と思い出す。
 
胸は痛まない。もう、いい思い出。

「同棲もいよいよね。まさか自分がそんなことするとは……」
 
相手が夢くんだから、叶ったのだと思う。
 
色んな条件が重なって、私たちはうまくいっているのだと思う。

「楽しみだね」

「楽しみ」

「梨聖ちゃんの寝顔が見られるのが、凄く楽しみ」

「も~、やめて。口ぽかんと開けて寝てらんないじゃん」

「俺も、イビキかけないな」