ぎりぎりセーフ……。
 
私は帆乃香と鈴を見つけると、彼女の隣へ座った。

「寝坊した」

「間に合ってよかったじゃん」
 
帆乃香は枝毛を探しながらそう言った。
 
ふう、と私は息をつく。
 
間に合った……。
 
だけど、その講義中。
 
朝ご飯を食べないで来たものだから、お腹がぐうぐう鳴って、恥ずかしかった。

“あんた、オナラ?”なんて鈴に聞かれて、私は激しく首を横に振った。
 
さやかは、この講義はとっていない。
 
正直、さやかに顔を合わせるのは、ちょっと難儀だ。
 
だけども、避けることもしたくないし、そこまでじゃないし。