「いやあ、いい青年じゃないか、夢大くん。お父さん、彼なら安心だぞ」

すると、キッチンの方からもお母さんの声がした。

「いいわよ。梨聖ちゃん。夢大くんのところで花嫁修業してきなさいよ」

「花嫁修業――?」

私は首を傾げ、夢くんを見た。

「一緒に住んでいいってことさ」

そう言ってにっこりと笑った。

「ええ、何――」

何で、と尋ねようとした。

普通、大学生の身分で同棲なんて、どこの親が許す?

――何かが、あるのを、感じた。

だけど、それを私は聞かない方がいい。

私は、自分の怪訝な表情をしまって、代わりに笑顔を作り、、

「やったね」

と言ってみせた。