やがて、パタパタパタ……と、スリッパの音がして、出て来たのは、お母さんだった。

「まぁ、まぁ、梨聖ちゃんたら、なんの連絡もなしにっ!?」

エプロンで手を拭いながら、心配と怒りの混じった言葉を吐いて。

そして私の隣りで毅然とと立っている夢くんと私の顔を交互に見、唖然とした顔をした。

そりゃ、そうだろうな。朝帰りの娘が見知らぬ男をつれてくりゃあ。

――だけど。

「あなた――」

夢くんを見て、お母さんは硬直していた。

――?

夢くんは、にこにことしている。

「何? 知り合い?」

今度は私が、お母さんと夢くんを交互に見る番だった。

「梨聖ちゃん、自分の部屋へ行ってなさい」