「同棲する、許可をもらいに行く」

何言っちゃってんの、この人。

「結婚前の――……しかも学生の私たちの同棲なんて、許されるわけない――」

私はとにかく早く家へ帰ろうと、身支度を始めた。

「だって、終電なり始発なりで、帰るの大変だろ。今日なんかも、休日はどこにも行かずにふたりでまったりしたいじゃん」

「そんな――。とにかく、私、帰らなきゃ」

「俺も行く」

「怒鳴られるのが目に見えてるわよ」

「うん。大丈夫」

「あの……ね、実は本当のお父さんじゃないけどさ。本当のお父さんの対応するわよ。“ウチの箱入りムスメを”って」

「うん」

それでも屈しない。

意外とガンコなんだな、夢くんって……。

私は家に帰る地下鉄の中でもそわそわしていた。