「こんな夜には~世界も夢を~見ればいいの~になぁ~」

私は鼻歌まででるほどにホロ酔いになった。

夢くんは、相変わらず眠ったままだった。

――終電の時間もあるし、そろそろおいとましようかな、と、お皿を片づけ、自分の手荷物をまとめた。

すると、その気配に気づいたのか“ん~”と声を出し、夢くんは目を覚ました。

「梨聖ちゃん、帰らないでー」

「おはよう、夢くん。でも、終電があるんだ」

「夜中に目が覚めて、君がいないと淋しい」

そんな甘えた声だして、かけたままのメガネの奥の瞳はうるんでる。

「眠っちゃってごめんね」

「ううん。それはいいんだけど」

夢くんは起きあがり、“タオルケットありがとう”と言い、私の隣に座った。

「おねがい。泊まってって」

「私もここにいたいけど――」

外泊なんて、親が何ていうだろう。