「――さて。とりかかりますか」

包丁とかまな板とかの台所用品も、今月の買い物で一通りのものをそろえた。

新しい道具って、何かギコチない。

長い間、ずっと抱いてきたぬいぐるみのように、使いこまれたものの方が、しっくりくる。

夢くんをリビングでまたせて、私は料理にとりかかる。

キャベツをベリッとはがしながら、ふと思った。

――夢くんの場合。……渡海夢大くんの場合は、初対面でも全然ギコチなくなかったな。

初めからこうなる運命だった? なんて。