空に向かって、私はひとりごちる。

「……ん? 何か言った?」
 
夢くんが振り返る。
 
私は首を横に振る。

「ん~ん。何でもなぁい」

「変なヤツ」
 
夢くんは、私のおでこをコツン、と押した。

「えへへ」

「何笑ってるの?」

「いや……」
 
幸せだな、って思って、とは言わなかった。
 
ずっと、この幸せが続きますように。
 
私は再度、天に祈った。
 
幸せは続かないっていうけれど、どんなに不幸になったって構わない。
 
夢くんさえ傍にいてくれれば、それだけでいい。
 
ただ、ひとり、この世で夢くんだけが――。