「もうすぐで、イルミネーション点るね」

「そうだね。あと一ヶ月ちょいかな」

「一緒に見られたらいいね」

「……そうだね」
 
応えに数秒の間があったことに、私は気づかない。
 
そこへ、木枯らしがひゅうと吹いた。
 
私の髪を、風がさらっていく。

「……くしゅん」
 
思わずくしゃみが出た。

「また、風邪ぶり返した?」  
 
その笑みは柔らかだった。

「大丈夫」
 
私は鼻をすすりながら応えた。

「……手、繋ごうか」
 
どきん!
 
その遠慮がちな夢くんの申し出に、私の心臓は跳ねる。