これは、私が彼に恋をしているからそう見えるのか。
 
会うたびに、どきどきする。
 
顔を見るたびに、どんどん好きになっていく。

「行こうか」
 
夢くんが私を促す。
 
私たちは、肩を並べて歩き出した。
 
秋真っ盛りで、街路樹は金箔の光を落としている。
 
空は、湖のように碧くて深い。
 
これから、段々寒くなっていくんだな。
 
街路樹の葉が散って、木がはだかんぼうになるのが可愛そうだ。
 
木枯らしに吹かれて、細い枝が寒さに震える。
 
だから、冬には木々に光をあげるのかもしれない。
 
この駅前の街路樹は、冬になるとLED電球が巻かれ、イルミネーションになる。
 
木々は電球で、暖かさを凌いでいる。
 
それを見るひとびとのこころにも、灯りを点す。
 
冬って、寒いけれどこころ温まる季節なのかもしれない。