なのに僕は…
「学校に行けない気持ちって…どんな感じなんだろ?」
「え?そりゃ…もう……」
僕はふと発してしまった。
彼女は…言葉に詰まった。
「……苦しい…んだよな。僕にはわかんないけど」
「わかんないよね!普通に歩けてきた人には…」
そう言われ、なんだか僕の方がちっぽけな気がした。
「確かに…僕は普通に歩いてきた。だけどつらいこともたくさん乗り越えて…」
「どうせ私はつらいことから逃げてただけよ!もう…帰って…!」
僕は…彼女の傷をえぐってしまった。
「帰らない」
「…なんでよ!?」
「そばにいたい」
「うそ…」
「ほんと」
逃げてたのは僕も同じだ。
もう僕は彼女から逃げない。
「別に咎めてるわけじゃないんだ」
「わかってる。ごめん、私イライラしてて…」
わからなかったんじゃなかった。
僕は忘れていた。
田舎に帰って彼女の苦しみに触れたことを…