「…やっぱり、治ってきた」

「…うそつき」



こんな瞬間が普通に幸せだった。






「バイト先のその先輩にごちそうになってね、こんな時間になっちゃったの」

「そう。どうだった?初日」

「うん。みんなかわいかったよ。私の時より今は少し穏和だよね。はは、うらやましかった」

「福澤さん…」

「やだ、そんな顔しないでよー。昔のこと!私はもう大丈夫なんだから!」



でもやっぱり…



「今度はね、訪問もするんだよ。どんな子かなぁ…絶対助けてあげたい」




彼女は目を輝かせている。




心配してたけど…


彼女は頑張って前を向いているのに僕がこれでどうするんだ。



もう大丈夫だ。


彼女を信じよう。







「わっ、もう1時じゃん」

「本当だ。ごめん、しゃべりすぎたね」

「僕はいいけど、福澤さん疲れたろ?」

「ううん。あ、もう泊まってけば?明日土曜日じゃん」

「えっ…」

「あ!今夜おもしろそうな番組あるんだった!まだやってるかなぁ…」