「2、3日はこっちにいるよ」

「いつまで向こうにいるの?」

「…………」

「もう…、こっちには帰って来んのか?」


髭が伸びた祖父が茶をすすりながら言う。


「…いつかは帰って来るよ」






今回僕が田舎に帰ったのは彼女の居所を探すためでもあった。

何か手掛かりがあるかもしれない…
もしかしたらもう田舎に帰ってるかもしれない…

そう思い、僕は田舎にいる同級生に片っ端から尋ねてみた。

あまり希望はなかったけれど…。



「知らないよー。そんな人居たっけ?」


「わっかんないなぁ…。昔からわかんないんだからわかるわけないじゃん」


「今頃なに?忙しいからもう切るね」



知るどころか…、返ってくるのは冷たい言葉ばかりだった。




彼女の実家の住所へも行ってみた。

けれどもう、別の人たちが住んでいた。

卒業してからすぐに引っ越したみたいだ…。







何の手掛かりも得ないまま、あっという間にゴールデンウィーク最終日…
僕は東京へ戻る身支度をする。