彼女は倒れ込むようにして僕の胸にもたれ、大泣きした。
僕は田舎で、知らなかった彼女の過去とも会った。
彼女はずっと…
怯えていた。
それをはねのけ強がって…見知らぬ土地でたったひとりきりで…
とんでもない精神力を要したはず…
張りつめていた糸がプツンと切れたように…彼女は泣き崩れた。
僕は…
今僕の胸に居る彼女をそっと抱きしめた。
「あースッキリした!」
しばらくすると彼女は僕から離れ、急に勇ましくそう言った。
「じゃあねぇ~」
「え…」
あっさり帰っていった。
さっきまであんなに泣いてたのに…
なんだか僕は…拍子抜けした。
帰ると真っ暗だった。
悠二はどこをほっつき歩いてるんだ。
「帰った…って、田舎に!?」
『今朝言っただろ、今日帰るって。アニキ女のことで頭いっぱいで聞いてなかったんだな?アニキに女がいたって報告したからな』
「なっ…、おまえまさかスパイしに来たのか!?」