「え…」

「焼き肉!」

「あ…ああ、なんだ…」

「え?」

「いや、じゃ今夜行こう!」




一瞬ドキッとした。



そうか焼き肉か…。



それでも…嬉しい出来事だった。


それに…さっきまでぼんやりしてた彼女の顔が元気そうに見えてきて嬉しかった。







「高原くん、今日ご機嫌だね!」

「そうですか?頑張ります!」



いつも以上に働けた。

なんせ今夜は焼き肉…










「たくさん食えよー」

「うん。…弟くんも来くればよかったね」

「いいんだよあいつは。今日もどこほっつき歩いてんのか」

「でも本当にそっくりだよね。兄弟揃って男前!」

「え?特上とっちゃおっか」

「わーい。ははは」



彼女は…すごく明るかった。


昨日まで僕を遠ざけようとしてた彼女が嘘みたいに僕の前で笑ってる。





「うまいねぇ!」

「うん、うまいな!」

「野菜も食べないとっ。あ、ビールは?私はいいけど」

「そうだな。飲んじゃおっかな」

「…ちょっとごめんね!」



彼女は席を立った。