「………ここは…」

「病院…。福澤さん倒れたんだよ」

「え…!?」

「あ、大丈夫だよ。過労だって…すぐ良くなるって」

「…………」





それから僕は…


何も言えず、本当にただそこに居るだけだった。









点滴も終わり、僕らは病院を出た。


そして僕は道路の真ん中に飛び出た。



「!?」

「お~い!!乗せてくれぇ~!!」




いつかの彼女のように飛び跳ね、大きく手を振り、タクシーをとめた。


上京して4年…
こんなことをしたのは初めてだ。



彼女は…



少しだけ笑った。






僕は少しだけほっとした。








「同じ方向だから僕も乗るよ。いい?」



彼女はそっと頷いた。


目が覚めてから彼女はほとんど喋らず、…怒るかもしれないけど、その姿は昔を思い出させた。


人と喋るのが苦手だった彼女はいつも、頷いたり首をふったりで意志を伝えるのがやっとだった。





怒るかもしれないけど…

僕は今、彼女を愛しく感じた。