「違うよ!福澤さんだって…同級生なんだから、そういうこと言うなっつってんの!」

「はいはい、ごめんなさい!おまえって本当優等生だよな。正義の味方って感じで」

「曲がったことが嫌いなだけだ」

「もういいじゃん、もらっとけよ。くれるって言ったんだろ?」

「そういうわけにはいかない、1万は大金だぞ!」

「どうせじじぃからもらったはした金だろ。平気平気」


平気なわけ…ないだろ。






あれから半年が過ぎても、僕は10年に1度しか起こらないような偶然をあてにしながら歩いている。


もう…この大都会の中には居ないのか。





ゴールデンウィークは、めずらしく田舎に帰った。

3年前、同窓会のために帰ったきりだった。
それが済むと僕はすぐに東京へ戻った。



僕は…優等生なんかじゃない。
都会での生活に埋もれ、3年も家族とご無沙汰してたんだ…。

親もシワが増え…、祖父母は足腰が痛くてあまり動けないようだ…。



「またすぐに東京に帰るの?」


祖母がか細い声で言う。