「余計なことしないでよ…」
彼女の声が小さく…震えてるようになった。
「言ったでしょ!過去は全部捨てたって…自分も家族も…好きな人も全部捨てたの!もうどうだっていい…もう…もう高原くんも私の前に現れないで!」
彼女は叫び、よろめいた。
「福澤さん?」
「なんでもない…大丈夫だからっ…!」
彼女は支えようとした僕の手を振り払い、柱にもたれかかった。
「ちょっ…大丈夫じゃないだろ!?福澤さんっ!」
だんだん意識が朦朧としていった。
「みやねえ…!」
ちょうどその時、彼女の…いとこの吉田啓太くんが来た。
彼女を病院に運んだ。
「大丈夫。点滴ですぐ元気になりますよ」
「よかった…、ありがとうございます」
彼女は栄養不良と睡眠不足が積み重なって倒れたようだ…。
「睡眠薬、医者にもらってたのに飲んでなかったんだな…」
「睡眠…薬?」
「みやねえ…眠れないとか、不安定な日々が続いて精神科に行ってたんですよ」