びっくりして警察に尋ねたり、学校まで行ってしまったけど…
だから噂はあっという間に広がった。
周りから浴びせられたのは同情とかではなく…
他人からは後ろ指をさされ、親戚からも罵られ…
当時は心配もしたわ。
あんな子がひとりで生きていけるわけないって…。
気が狂いそうだった。
探してもみつからない…
帰ってくることもない…
もう…うちには娘は最初からいなかった。
そう思うようにして生きてきたのよ。
「大変…でしたね…」
「大変なんてもんじゃないわよ。もう…あの親不孝娘は…!」
「でも…福澤さんもつらかったと思います…」
「わかってるわよ、あの子が一番つらかったのよ…」
母親は、目を真っ赤にして話してくれた。
「そうだちょっと来て」
「…?」
母親は僕を彼女の部屋へ案内した。
彼女が出て行った当時のままだという。
…当時の彼女が見えてくるようだった。
「荒れてるでしょ。あの頃はこれを見てただイラついていたけど…今考えるとこれはあの子の心を表していたのね…」