「冷やかし?」

「家出娘の家だ…って、どこからともなくやってくるのよ。一体この町のどこまでうちの恥が広まってるのかねー…」



恥…



「それにしても、本当にあの高原俊平くんなの?」

「はい。……これ」



証拠に運転免許証を見せた。



「…まぁ。でもどうして俊平くんがうちに…?」

「今日僕東京から帰ってきたんですけど、学校に行ってみたらその…みやびさんのことを聞いたんで…」

「ああ、もう…恥ずかしいわ!」

「恥じることなんてないです!」



思わず声が大きくなってしまった…。



「…すみません。で、あの…心配なさってると思って…」

「心配なんかしてないわ!あんな子…居なくなってせいせいしてるのよ!あの子のせいでうちはどれだけー……」




母親は感情的になって彼女のことをボロカスに言った。

そんな姿を見て僕は悲しくなった。



彼女が強く生きようと必死なのを、僕は知っている…。




「…福澤さんは今、東京に居ます」

「東京に!?…じゃあ、まさか俊平くんの近く…に?」