「…ここか…な?」



緊張しながら僕はインターホンを鳴らした。




「はーい」



彼女の母親の声とともに扉が開いた瞬間…



「うわっ…!」



…犬が飛び出してきた。



「すみませんねー、やんちゃな犬で…」

「いや、大丈夫ですよ!」

「えっ…と、どちら様…」

「あ、福澤…みやびさんの…」

「いません!」



…名乗る前に、母親は急に顔色を変え、怒声をあげた。

その声を聞いた、犬もけたたましく吠えだした。



「わんっわんっわんっわんっ」

「あの僕は…」

「うちにはそんな娘は居りませんので帰ってください!」



母親は扉を閉めようとした。

僕はその扉をつかみ…



「高原俊平です!みやびさんの同級生の…」

「……え!?」

「わんっわんっわんっわんっわんっ…」








「麦茶…でいいかしら…」

「はい、すみません…」



僕はなんとか家にあげてもらえた。
もうちょっとで門前払いされるところだった。




「さっきはごめんなさいね。また冷やかしかと思って…」