「後藤先生、お疲れ様でしたー」

「お疲れ。おい倉田!高原が来てるぞ」

「え、あー高原だー!」



中学3年間ずっと同じクラスだったやつだ。
…母校の教師になったのか。




倉田はもう帰るところだったが、足を止め昔話で盛り上がった。




「へぇー、森も帰ってきたんだ。あとでからかいに行ってやろ」

「ははは、やめろよ」

「知ってる?あいつ学年で1番のモテ男だったんだってさ!」

「うっそ、知らねえよ。そんな話しなかったもんな」

「高原だってすごかったよなー!…でも大変だったな」

「…何が?」



また…



倉田が何を言おうとしてるか予測はついたが聞き返した。



「高原のこと気に入ってる女子たくさんいた中にほら、ひとり厄介なのいたじゃん。散々ひやかされたよなー」



…僕は応える気力を失い、うつむき、黙り込んだ。



「高原…、相当つらかったんだな…。おいおい」




ちがうっちゅうに。




誤解した倉田は、僕の背中を撫で、慰めた…。