「こんなにはいらないよ…」

「今ここにそれしかないの。それチップだから返さなくていいよ」

「そういうわけにはいかないよ…っと」


僕はよろめいた。


「もう早く帰って寝た方がいいよ!」


彼女は僕を支えてくれて、タクシーもつかまえて、乗せてくれた。


「悪いな…。必ず返すから…」

「いいってば!ばいばい」


彼女はそそくさとドアを閉め、店へ戻っていった。


おかげで僕は無事に家に帰り着いた。






翌日、僕は早速彼女にお金を返すため、店へ行った。

彼女のここでの名前は確か…



「あの、すみれさん…」

「すみれちゃん?ごめんねぇ、昨日で辞めちゃったんですよー」

「えっ…」

「他にもかわいい娘いっぱいいるよ!」


そんな…。どうしよう……



「あの、住所とか教えてくれませんか」

「すみれちゃんの?それはだめだよー。プライバシーの問題ですから」

「僕は同級生なんです。彼女にお金を返さないといけなくて…」

「あんたが誰だろうがどんな理由であろうが教えるわけにはいきません。客じゃないんだったら帰ってよ」