「ピーマンだぞ。好きか?」

「すき」

「そうか。じゃちょっとやろっか。たくさんあるんだ」

「わーい」

「たくちゃん!そんなところにいたの!」



母親が走って来た。


「おかあさん、これもらったー」

「ええっ!?」



母親は僕を睨んだ。



「あの、僕はここの福澤さんの同級生です。決して怪しい者ではないですので、どうぞ」

「あら、そうなんですか?…またこの子欲しがったんじゃありません?」

「いえ、好きだって言ったんで…」

「なんでもかんでも好き好き言うんですよ、どうもすみませんねぇ」



母親は頭を下げながら、男の子を連れ、帰っていった。

彼女のお隣さんだった。



部屋に入ってからひょっこり顔を出した。



「福澤さん、さっき出かけたみたいよ。普段着だったから…きっとすぐ帰ってくるわ」

「あっそうですか。ありがとうございます」



奥さんがそう教えてくれたので、僕は玄関の前で待った。











「高原くん…?」