「すみません…」





同僚が、僕が扱ってた書類を取り上げ、言った。



「何か気になることでもあるんじゃねぇか?今日はもう帰れよ」

「でも…」

「あ、ここも間違ってるぞー。な、帰れ帰れ」

「…ありがとう」



同僚のぶっきらぼうな優しさのおかげで僕は早退した。







早く誤解を解かないと…





先を急いでいると、昼に見かけた所で彼女とバッタリ遭遇した。



「おお、ちょうどよかった!今会いに行くとこだったんだ」

「え?」

「話したいことがあって…」



彼女はしきりに下を見て、キョロキョロしていた。



「…何か探してるの?」

「カギ落としちゃったみたいで…」

「え、そりゃ大変だ」



僕も下をキョロキョロ…一緒に探しだした。








「あー!!ストップー!!」

「え?え!?」



道行く人の足元に光るものが見え、僕は大声をあげ、その人の進行を止めた。



「何よ、いきなり」

「すみません…、これ、落としちゃってたんで…」

「気をつけてよ、もう」